メスティンの選び方
スウェーデン発祥の飯盒(はんごう)でありながら、その使い勝手の良さから日本のキャンプシーンで爆発的な人気を誇る「メスティン」。
四角い形状はお湯を注ぎやすく、パッキングもしやすいという合理的なデザインですが、いざ購入しようとすると、本家のトランギア製以外にも多くのメーカーから発売されており、どれを選べば良いか迷ってしまうものです。
自分にぴったりの一台を見つけるためには、まず「サイズ」と「表面加工」という2つの軸で絞り込んでいくのが正解です。
用途に合わせたサイズの選択
選ぶ際の第一の基準はサイズです。
基本となるのは通常サイズとラージサイズの2種類があり、自分のキャンプスタイルに合わせて選びます。
ソロキャンプやペアでの使用がメインなら、迷わず通常サイズを選びましょう。
お米なら1合から1.5合まで炊くことができ、インスタントラーメンを割って調理するのにも丁度良い大きさです。
バックパックの隙間にもすっぽり収まるため、登山やツーリングにも最適です。
一方、3人以上のファミリーキャンプや、メスティンを「鍋」として使って大量の具材を煮込みたい場合は、ラージサイズが適しています。
ラージは最大3合から4合までの炊飯が可能で、レトルトパックを温める際も複数個を一度に入れられる余裕があります。
自分の胃袋と相談しつつ、まずは汎用性の高いレギュラーサイズから入るのが王道です。
「無垢材」か「加工済み」か
サイズが決まったら、次は素材の表面加工に注目します。
伝統的なメスティンはアルミ無垢材で作られており、使い込むほどに煤(すす)や傷がつき、ヴィンテージギアのような風合いに育っていくのが魅力です。
価格も手頃ですが、食材がくっつきやすく、焦げ付きやすいという難点もあります。
これに対し、近年増えているのがノンスティック加工やフッ素加工が施されたモデルです。
家庭のフライパンと同じように食材がスルッと剥がれるため、調理後の洗い物が劇的に楽になります。
ただし、加工モデルは焚き火などの強火に弱く、空焚き厳禁であることや、金たわしが使えないといった制約もあります。
「手間をかけて道具を育てる楽しみ」を重視するなら無垢材、「実用性と片付けの手軽さ」を優先するなら加工済みモデルを選ぶと良いでしょう。
扱い方のポイント
特にアルミ無垢材のメスティンは、買ってそのまま使うのではなく、最初にある程度の手入れを行うことで、使い勝手と安全性が格段に向上します。
ここでは、長く愛用するための必須メンテナンスと、そのポテンシャルを引き出す調理のコツを解説します。
安全と愛着のための初期メンテナンス
購入直後のアルミ製メスティンの縁は、切りっぱなしの状態で鋭利になっており、そのまま指でなぞると切れてしまう「バリ」が残っていることがあります。
これを取り除くために、紙やすりを使って縁を滑らかに削る「バリ取り」を行います。
バリ取りが終わったら、次はシーズニングです。
アルミの表面に酸化皮膜を作る作業で、金属臭を取り除き、黒ずみや焦げ付きを防ぐ効果があります。
お米のとぎ汁を鍋に入れ、その中にメスティン本体と蓋を浸して15分〜20分ほど煮沸します。
この皮膜は洗剤で強く洗うと落ちてしまうため、使用後はなるべく水やお湯だけで洗うのが、長く愛用するコツです。
自動炊飯を成功させるコツ
メスティン最大の発明とも言えるのが、固形燃料を使った自動炊飯です。
これさえ覚えれば、失敗なくふっくらとしたご飯が炊けます。
手順は簡単です。
お米1合に対し水200mlを入れ、夏場なら30分、冬場なら1時間ほどしっかり吸水させます。
その後、ポケットストーブなどの五徳にセットし、25g〜30gの固形燃料に着火して放置するだけです。
火が消える頃には丁度よくご飯が炊き上がっています。
重要なのは、火が消えた後にすぐに蓋を開けず、タオルや保温バッグに包んで15分ほど蒸らすこと。
この工程で水分が均一に行き渡り、芯のない美味しいご飯になります。
また、底に網を敷けば蒸し器としても使えるため、肉まんや野菜蒸しなど、工夫次第でレパートリーは無限に広がります。
